視覚・聴覚・触覚を組み合わせる学習効果
「マルチモーダル」とは、「複数の様式(モード)」を意味します。つまり、マルチモーダル学習とは、視覚(見る)、聴覚(聞く)、触覚(触る・書く)といった複数の感覚を組み合わせて学ぶ方法です。
例えば、英単語を覚える時に、目で見て(視覚)、声に出して読み(聴覚・運動感覚)、手で書き写す(触覚・運動感覚)というように、複数の感覚に訴えかけると、脳の様々な部分が活性化されます。これにより、一つの感覚だけで覚えるよりも、記憶のネットワークが強固になり、忘れにくくなるのです。
子どもの教育現場で実証された感覚統合の力
このマルチモーダル学習の考え方は、特に子どもの教育現場でその効果が実証されています。例えば、算数の授業で、ただ数式を見るだけでなく、ブロック(おはじき)を実際に手で触って数を数えたり、歌に合わせて九九を唱えたりします。
このように、複数の感覚情報を脳の中で整理・統合する「感覚統合」のプロセスを経ることで、子どもたちは抽象的な概念をより深く、直感的に理解することができます。この原理は、大人の学習においても非常に有効です。
語学学習に活かすマルチモーダル実践法
大人の学び直しで人気の語学学習は、マルチモーダル学習の効果を最も実感しやすい分野の一つです。
具体的な実践方法
- ドラマや映画を活用する:映像(視覚)とセリフ(聴覚)を同時にインプットし、気に入ったフレーズはシャドーイング(後について発音)してみる
- 料理で学ぶ:海外の料理レシピをその国の言語で読み、実際に作りながら食材や調理器具の名前を覚える(視覚・触覚・味覚・嗅覚)
- アプリでゲーム感覚で:単語と絵を結びつけたり、音声を聞いてタイピングしたりするアプリは、まさにマルチモーダル学習そのもの
楽しみながら五感を使うことが、語学力アップの近道です。
プレゼン資料作成時の五感活用テクニック
プレゼンテーションの資料作りも、聞き手の五感に訴えかけることで、伝わり方が全く変わってきます。
五感に訴える表現方法
- 視覚情報:文字ばかりでなく、グラフや写真、イラストを効果的に使い、重要な部分は色を変えて強調する
- 聴覚情報:プレゼン本番では、単調な話し方ではなく、声のトーンや話すスピードに緩急をつける。短い動画やBGMを挿入するのも効果的
- 触覚情報(疑似的に):「この商品は、まるでシルクのような手触りなんです」といった比喩表現を使い、聞き手が実際に触っているかのような感覚を呼び起こさせる
このように、聞き手の五感を意識することで、あなたのプレゼンはより記憶に残り、心を動かすものになるでしょう。