なぜ「やる気」は長続きしないのか?
そもそも、「やる気」や「モチベーション」は、長続きするようにはできていません。なぜなら、やる気は「感情」の一種だからです。嬉しい、悲しいといった感情に波があるのと同じで、やる気も高まったり、落ち込んだりするのが当たり前。24時間365日、高いモチベーションを維持し続けるなんて、どんな超人にも不可能です。
例えるなら、やる気はロケットの打ち上げブースターのようなもの。最初の勢いをつけるのには非常にパワフルですが、すぐに燃料が尽きてしまいます。その後、宇宙空間を旅し続けるためには、軌道に乗って自動で進む仕組みが必要です。
つまり、何かを続けるコツは、「やる気を維持しよう!」と頑張ることではなく、「やる気がなくても勝手に行動してしまう仕組み」を作ることにあるのです。
if-thenプランニングで行動を自動化する
その仕組み作りの一つ目が、心理学で効果が証明されている「if-then(イフゼン)プランニング」です。やり方はとても簡単です。
基本的なルール
「もし(if)〇〇をしたら、その次に(then)△△をする」というルールを、あらかじめ決めておくだけです。
具体的な例
悪い例:「毎日、単語を勉強する」(←いつ、どこでやるかが曖昧)
良い例:
- 「もし(if)朝の電車に乗ったら、その次に(then)単語帳を1ページだけ開く」
- 「もし(if)お風呂のお湯をため始めたら、その次に(then)ストレッチを3分間する」
ポイントは、「いつもの習慣」に「新しい習慣」を紐付けること。「電車に乗る」「お湯をためる」といった日常の行動が、新しい習慣を始めるためのスイッチになります。こうすることで、「さて、いつやろうかな…」と考える手間が省け、脳が迷うことなく、ほぼ自動的に行動をスタートできるのです。
20秒ルールで「めんどくさい」をなくす方法
新しいことを始める時、一番の敵は「めんどくさい」という気持ちではないでしょうか。この「めんどくさい」の壁を乗り越えるための魔法が「20秒ルール」です。
20秒ルールとは
「始めたい良い習慣は、今より20秒手軽にできるようにする」というシンプルなルールです。
実践例
- 読書を習慣にしたいなら:本を本棚にしまわず、いつも座るソファの横に、開いた状態で置いておく
- 朝、ジョギングをしたいなら:前の晩に、ウェア一式を枕元に揃えておく
- 資格の勉強をしたいなら:カバンの中に常にテキストを入れておき、机の上にも出しっぱなしにしておく
たった20秒。しかし、この「一手間」を先回りして省いておくだけで、行動へのハードルは劇的に下がります。逆に、やめたい悪い習慣(スマホのダラダラ見など)は、アプリを深い階層のフォルダに入れるなど、「20秒余計に手間がかかる」ようにすると効果的です。
仲間とSNSで「やらざるを得ない」状況を作る
自分一人の決意は、とても揺らぎやすいものです。そこで活用したいのが「他人の目」。少し強制力のある環境に身を置くことで、「やらざるを得ない」状況を作り出しましょう。
効果的な方法
- 公言する:友人や家族、職場の同僚に「〇〇の資格試験を、次の試験で絶対に取る!」と宣言してしまう
- 仲間を見つける:同じ目標を持つ友人と、週に一度進捗を報告しあう約束をする
- SNSを活用する:「#今日の勉強」「#筋トレ記録」などのハッシュタグをつけて、毎日の成果をSNSに投稿する
何かを続けられないのは、あなたのせいではありません。ただ、やり方を知らなかっただけなのです。「やる気」という気まぐれな感情に振り回されるのは、もう終わりにしましょう。今日ご紹介した3つのテクニックの中から、一番簡単そうなものを一つ選んで、ぜひ試してみてください。あなたの「三日坊主」は、きっと卒業できるはずです。