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AIとITのススメ

「スマホは現代の麻薬?」ショート動画中毒の危険性と、それに気づかぬ親たち

おもちゃとしてスマホを渡していませんか?

「静かにしていてほしいから」「移動中にぐずらないように」。そんな理由で、幼い子どもにスマートフォンを手渡していないでしょうか。多くの保護者が、スマホを便利な「おもちゃ」や「子守り役」として利用しています。しかし、その手軽さの裏には、子どもの心身の発達に深刻な影響を及ぼす危険性が潜んでいます。

特に近年、若者を中心に爆発的に普及しているのが、TikTokYouTubeショートなどの「ショート動画」です。15秒から1分程度の短い動画が次々と表示されるこの仕組みは、私たちの脳を強烈に惹きつけ、気づけば何時間も経っていたという経験を持つ人も少なくないでしょう。

問題は、子どもたちだけにとどまりません。家庭での教育を学校任せにし、自らはスマホの画面に没頭する親たち。親子で同じようにショート動画にハマり、学びや対話の機会を失っている家庭も増えています。本記事では、まずこの問題の根深さについて、海外の事例も交えながら掘り下げていきます。

親のITリテラシー不足と家庭教育の放棄

多くの場合、親世代は子ども時代にスマホやSNSがなかったため、その仕組みや危険性を十分に理解していません。そのため、子どもにスマホを与える際のリスク管理が甘くなりがちです。

海外の調査では、親がスマホに夢中になっていると、子どもは「自分は大切にされていない」と感じることが分かっています。ブラジルやアメリカなど8カ国の子ども6,000人を対象にした調査では、32%が「親がスマホをいじっていると、自分がないがしろにされていると感じる」と回答しています。親がスマホに費やす時間が増えるほど、親子のコミュニケーションは減少し、子どもの健全な愛着形成が妨げられる危険性があるのです。

さらに深刻なのは、親自身がショート動画に夢中になり、学ぶことをやめてしまうケースです。親がスマホとの適切な距離感を保てなければ、その姿を見ている子どもが良い手本を持つことはできません。親が自らのスマホ利用をコントロールする姿勢を見せることが、子どもが健全な使い方を学ぶ第一歩となります。

ショート動画の「中毒性」の仕組みとは?

なぜショート動画は、これほどまでに人を惹きつけるのでしょうか。その理由は、脳の「報酬系」と呼ばれる仕組みにあります。

  • ドーパミンの過剰分泌: ショート動画を視聴すると、脳内で快楽物質であるドーパミンが分泌されます。短い動画が次々と流れることで、脳は常に新しい刺激を受け、ドーパミンが出続ける状態になります。これはスロットマシーンの仕組みに似ており、ユーザーを「やめたくてもやめられない」中毒状態に陥らせます。
  • アルゴリズムによる最適化: プラットフォームのアルゴリズムは、ユーザーの閲覧履歴を学習し、その人が好みそうな動画を次々と表示します。この仕組みにより、ユーザーは興味のある動画から抜け出しにくくなり、視聴時間が伸びていくのです。

海外で警鐘が鳴らされる深刻な影響

ショート動画の中毒性は、世界的な問題として認識され始めています。

  • 認知能力への影響: 中国の浙江大学の研究では、ショート動画アプリ(Douyin)を頻繁に利用する学生の脳に、依存症に関連する変化が見られたと報告されています。また、短く刺激的な動画に慣れることで、集中力や思考力が低下し、長時間の授業や読書が苦手になる傾向も指摘されています。
  • 精神的な問題: 中国で行われた大学生を対象とした研究では、幼少期に虐待やネグレクトといったつらい経験をした学生ほど、ショート動画依存症になるリスクが高いことが示されました。このような学生は、現実から逃避するためにショート動画に没頭しやすく、その結果、さらなる心理的・社会的な不適応に陥る可能性があります。
  • 危険なチャレンジの模倣: 海外では、TikTokなどで流行した危険なチャレンジを真似た子どもが死亡する痛ましい事故も報告されています。例えば、失神するまで自分の首を絞める「ブラックアウト・チャレンジ」などがその一例です。

このように、安易に子どもにスマホを与え、親自身もその危険性に無自覚でいることは、子どもの未来を脅かすことになりかねません。

後編では、この深刻な状況から抜け出すための具体的な対策と、家庭で心がけるべき教育について詳しく解説していきます。

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