【高2情報】情報科学の応用と情報社会の創造
この教科で何を理解させるのか
高校2年生の情報科は、1年生で学んだ情報社会の基礎の上に立ち、情報科学のより専門的な知識を探究し、社会の課題を情報技術で解決する力を育む段階です。指導の核となるのは、アルゴリズムの設計と評価、データ構造といったプログラミングの応用的知識を習得させること、データ分析の基本的な手法を学び、情報から価値を引き出すデータサイエンスの基礎を養うこと、そして情報セキュリティやプライバシー保護といった情報社会の課題を深く考えることです。
生徒にとっては、情報技術の「利用者」から、社会の課題を解決する「創造者」へとステップアップするための重要な学びとなります。
指導の目標:AIネイティブ世代の知のフロンティアを開拓する
指導目標は、「情報科学の応用と情報社会の創造」への意識を高めることです。情報科学の専門的な知識を習得させ、論理的思考力と問題解決能力を育みます。さらに、データ活用を通して、社会の課題を解決する力を養い、情報社会の未来を創造し、社会に貢献できる人材を育成することを目指します。
具体的な指導法:アナログとデジタルの手立て
アナログの手立て:思考の深化と対話
アルゴリズムの設計: 特定の問題(例:最短経路探索、整列)を解決するためのアルゴリズムを、フローチャートや擬似コードを用いて手書きで設計させます。コンピュータを使わない活動を通して、論理的な思考プロセスそのものを鍛えます。
情報倫理ディベート: 情報倫理に関するケーススタディを基に、ディベートを行います。「監視社会の是非」「AIによる意思決定の倫理」といったテーマで議論することで、技術の光と影を多角的に考察する力を養います。
協働でのプロジェクト計画: 社会の課題についてグループで議論し、情報技術で解決できる方法をブレインストーミングします。誰のために、何を、どうやって作るのかを具体的に計画するプロセスを重視します。
デジタルの手立て:実践的なプログラミングとデータ分析
実践的なプログラミング: Pythonなどの高度なプログラミング言語を用いたシステム開発やデータ分析プロジェクトを企画・実施させます。例えば、Webスクレイピングでデータを収集し、それを分析してグラフで可視化するといった一連のプロセスを体験させます。
データサイエンスの初歩: データ分析の基本的な手法を学び、身近なデータから価値を引き出す体験をさせます。例えば、学校のアンケート結果や地域のオープンデータなどを活用し、隠れた傾向や課題を発見する探究活動を行います。
情報セキュリティの探究: 情報セキュリティ、情報倫理、プライバシー保護に関する最新の課題について、オンラインで情報を収集・分析させ、発表させます。
指導の要:アナログとデジタルの最適なバランス
高校2年生の情報科では、「アナログな議論で社会課題への意識を高め、デジタルツールで実践的な情報技術の応用力を養い、AIの社会実装における倫理的側面についても深く考察させる」というバランスが重要です。
社会が抱えるリアルな課題を起点とし、その解決策を論理的に考え、デジタルツールを駆使して形にする。このサイクルが、未来社会のリーダーを育成します。
学習成果を測る評価の視点
評価は、知識だけでなく、実践的な問題解決能力や倫理観を評価します。
アナログ評価: 社会課題解決への意欲、情報倫理に関する深い洞察力、そして論理的思考力を、ディベートやレポートで評価します。
デジタル評価: プログラミングによる問題解決能力、AIの活用能力、データ分析能力、情報セキュリティ・倫理に関するレポートの完成度を、プロジェクトの成果物や発表で評価します。